【第7回】~10.15~



どうもー……。3回目の登場となります藍川拓都です……。

第0回を除けば初登場の冴木零です。……藍川さん、どうしましたか? いつもなら馬鹿みたいにはしゃいでいそうなのに、やたらと元気がないですね?

いやー……だってさぁ。俺、女の子とツーショットなら歓迎って言ってたよね? なのに、なんでこうなるのよ? おかしくない?

復活の悪魔、カルミアだ。それは、貴様への出演希望が多かったからだろう。

でしょうね。皆様のご要望が多かった分、登場回数が多いというだけでしょう。わかっていて言わせてるんですか? 自慢ですか? 不愉快なんですが。

そういうんじゃないけどー……だったら『もっと他にも要望あったじゃん?』って思うっていうかー。

まあ、その中でも……狩野さんとのコンビ希望が多かったんでしょうね。今までのところ、同作品以外のコンビが優先して取り上げられている中での採用ですので、余程無視できないだけリクエストが寄せられたのでしょう。

うーん……。そうなんだろうけど……ねぇ。

……で、なんでコイツは全く喋らないんだ?

…………。

それはー……何と言いますか。もともと無口な人なんですよ。

『庭』及びこの企画で前回登場した時にはベラベラ喋っていたじゃないか? ほら、『兄との感動の再会』って感じで、茶番を繰り広げろよ? みんなにかまってほしいんだろう?

……うるさい。(小声)

ハハ……兄弟揃ってまるで子どもだな。二人とも同じような態度で……傍から見るとそっくりだぞ? なぁ、無様なものだなァ~?

……あのね。兄弟兄弟言われても、コメントのしようもないんですってば。俺の方は、そのー……あんまり実感もないもんですから。

狩野さんの方はいかがでしょう? やはり、藍川さんのことを兄として意識されていたんですよね? SSや庭0を見る限りでも――

してない。消えろ。

……困ったものです。

おい、そこの――名前は何だったか忘れたが、死にかけたハムスターのような女。

……冴木零です。

貴様にも鬱陶しい兄がいただろう? 同じようにコメントを求められたとしたら、どう答える?

……何も答えたくありませんが、『どうにもならない兄だ』と答えるかと思われます。

そうか。ではピンク頭。貴様の兄はどのような人物だ? それなりに評価してたんだろう?

……してない。これはただの馬鹿だ。乳房のことしか脳にないような人間の屑だよ。

……はい、その通りです。ありがとうございました……。

では、乳房のことしか脳にないような屑に対して、必死にコンプレックスを燃やした結果が、あの『庭』ということでいいのか?

違う。もう、黙れ。

ああ~ん? 何が違うんだ? 貴様は、兄の影を追いかけていただけだろう? 違うというならどう違うのか、俺たちにわかるように説明してみろよぉ?

……帰る。

ちょっ……ちょっと!! ダメです。撮影が終わるまでは帰すわけにはいきません……!!

いやだ。もう帰る……。

俺も帰りたいです……。はぁ~……こんな拷問みたいなリクエスト、誰が考えたのよ……。

兄弟仲良く喋るのを期待されていたんだろう? ほら、要望に答えるために、喋れ。笑顔でな。『お兄ちゃん大好き!』『愛する弟よ!』って感じで、涙と鼻水を垂れ流して、熱い抱擁を交わしながら……隅っこの方でイチャイチャしてろ。少なくとも俺は見たくないからな。ハハハ。

……こいつを○しても、いいものだろうか。

今回ばかりはお願いしたいところだけど……さすがに血なまぐさいのは怒られそうです。

抱擁などは、私も絶対に嫌ですから。無理にしていただかなくても結構ですが――

撮影は、するよ。一応。

仕事だからな。一円にもならないけど、仕方ないからしてやる。そのためだけにここにいるんだからな。藍川拓都や、君に会いたかったわけじゃない。

……宜しくお願いします。

じゃあ、俺が撮ってやるから。可能な限りくっつけよ? 腰に手を回し合ってな~……。

……こいつ、嫌いだ。

……俺も。


ハハハ、いい記念写真だな。『仲良し兄弟』って感じだなァ~?

いや……すごく、不自然な絵面に見えるんですけど。

……そうだな。何も面白くない。用も済んだし、僕は帰る。

おお、得意の『逃げ』か。また逃げ出すのか、狩野朱希?

……僕は、逃げたことなんか一度もない。それ以上言うと、首を飛ばすぞ。

ハハ! ……ヤッてみろよ? 大好きなお兄ちゃんの前で、カッコイイところを見せ――

……っ!!(どこからともなく取り出したナイフを振るう)

ひっ……!!

…………。

……あれ。カルミアさんが消えた……?

逃げたんだな。人のことを批判していたくせに、情けない奴だ。

……ってか、シズクちゃんの姿も見当たらないような。

……何?


あの……これは、どういうことでしょう?

この世界では、悪魔としての様々な力は封じられているようだが、瞬間移動は使えるようだったからな。

それで……私も一緒に連れてきたということですか。

そうだ。二人っきりだな。ここなら……俺に何をされても、誰も助けに来ないぞ?

……え。

……もっと怯えろよ。反応の薄いハムスターだな。これからナニをされるのか、経験のない貴様には想像もできないのか……?

なっ……何をするつもりですか!? 私に指一本でも触れたら、ゆ……許しませんよ!!

そうそう、そういう顔だ。ちゃんと知識はあるようだな?

やめてください!! け……警察を呼びますよ!?

だから、誰も来ないと言ってるだろうが? これからその強気な顔が、どう歪んでいくのか、じっくりと観察しながら――

たっ……た、助けて……っ!!

……ハハ。ほんの冗談だ。俺だってヒマじゃない。用事を済ませたら、帰るよ。

…………。(涙目で疑惑の視線を送る)

そこに立て。セルフタイマーで撮るぞ。

……悪魔なのに、カメラを使いこなしていらっしゃるんですね。

悪魔だから、だよ。俺にできないことなど何もない。

……はい。(突っ込む気力も尽きたようです)


……さて。あの仲良し兄弟の様子を観察しに戻りたいところではあるが、俺は帰るかな。

……言われてみれば、あの二人も二人っきりで放置されているんですね……。

そうだ。今頃乳繰り合っているだろうよ。

ところで……ここは、どこでしょうか?

知らん。適当にテレポートした。お前は一人で帰れよ。

……え?

じゃあな。もう会うこともないだろう!

あっ……。 もう消えちゃった。ここ、どこだろう……。どうやって帰ったらいいの……? 携帯は……圏外だし。


…………。

…………。

……あの、先生。そろそろ、帰る?

……帰っていいのなら、帰る。僕があいつ(カルミア)から逃げたことにならないなら、それでいい。

んー……今回は、それでいいんじゃない?

含みをもたせた言い方をするな。僕は、誰からも逃げたことなんかない。

……うん。それでいいから、帰りましょうか。

……読者への挨拶はしなくてもいいのか?

それは、たぶんシズクちゃんがやってくれてるんじゃない? カルミアさんと一緒にどっか消えちゃったけど……。

……そうだな。帰るか。

……そうしましょ。先生、電車で帰るの?

藍川拓都が駅に向かうつもりなら、タクシーに乗る。

……あっそ。じゃあ、またね。

…………。(人混みに消えるアキ)

……はぁ。どっと疲れた。こういうおまけの世界でも飲みに誘えるようになるのは……だーいぶ先になるのかなぁ。……ま、いいや。帰って寝よ……。


その頃シズクは――
う……うう……。誰か、助けに来て…………。


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